昔の文章を掘り返す【2003年某日の日記下書きより 探訪録 :方舟書店 】

展覧路を南に進むバス、百万庄東庄という聞き慣れぬバス停で降り、あたりを見回すと、ひっそり小さな看板を見つける。名を方舟書店という。
恐る恐る店に入ると、目に飛び込むのはドアーズやストーンズピストルズなどのでっかいポスター達、実にぶっきらぼうにぺたぺた貼ってある。

「対了。」(ここだ。)

大陸中のロック愛好者から絶大な支持を受ける方舟書店、このお店は著名な音楽評論家の郝舫が開いたお店である。ロックを中心としたCDはもちろん、音楽に関する書籍、グッズが豊富で、音楽好きが集まるお店だというのがわかる。さらに、芸術、現代詩、思想、宗教などの書籍が充実しているのにも驚く。何処にでも間違いなくあるだろうこういう書店を探していたのだ。だから“非主流書店”と呼ばれるのだろう。

また、この書店はロックを奏でる者から最大級の支持を集める理由が他にある。中国各地のインディーズ版がほとんどこの店に集まる。また、ロック雑誌の摩登天空、通俗歌曲、我愛揺滾樂などは、バックナンバーも含め常備されている。大陸中のロック全てがここで手に入る。

ここからは自慢になるが、沈睡 『現代史詩 第三部(実験版)』や、誘導社 『214天和3個嘔吐少年』マレーシア版はおそらく他では出会うことができない貴重な音源であろう。コレクターの血が騒ぐ。

開店以来、大陸のロック愛好者の心の拠り所でありつづける書店である。これほどまで、存在価値のある書店が他にあるであろうか。

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2012年追記

この方舟書店は、本当に良く通いました。
中国ロックの裏聖地と言っても過言ではないと思います。
通ったわりに、写真の1枚もとってなかったのが残念です。
店の看板や、内部のレイアウトなど微かな記憶しか残っていません。
今はもちろんこのお店は無い事と思います。
いつくらいまで、お店があったのか、知りませんでしょうか?